序幕_第1場 | 日曜日 | なんて素敵な日曜日 |
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序幕_第2場 | 日曜日 | ハムレット・ワルツ |
序幕_第3場 | 日曜日 | ショー・マスト・ゴーオン |
序幕_第4場 | 日曜日 | たいしたパーティーじゃない |
OP | 東京オディエットアモ | |
第1幕_第1場 | 月曜日 | 狼は赤ずきんを食べない |
第1幕_第2場 | 月曜日 | 人は見かけによらぬもの |
第1幕_第3場 | 月曜日 | おせっかいな弁護士に気を付けろ |
第1幕_第4場 | 月曜日 | オー・マイ・ドクター |
第1幕_第5場 | 月曜日 | ゴースト・イン・ザ・ホスピタル |
第2幕_第1場 | 火曜日 | ハルキストは厄介だ |
第2幕_第2場 | 火曜日 | 犬と主人 |
第2幕_第3場 | 火曜日 | ツバメラーメン |
第2幕_第4場 | 火曜日 | 幼馴染ってやつ |
第3幕_第1場 | 水曜日 | ダーリン・ダーリン |
第3幕_第2場 | 水曜日 | 死体は語る |
第3幕_第3場 | 水曜日 | ゴーイング・クレイジー |
第3幕_第4場 | 水曜日 | 胡桃の中の王 |
第4幕_第1場 | 木曜日 | トーク・トゥ・スカル |
第4幕_第2場 | 木曜日 | タダより高いものはない |
第4幕_第3場 | 木曜日 | 復讐するは吾にあり |
第5幕_第1場 | 金曜日 | からさわぎ |
第5幕_第2場 | 金曜日 | 狂ったのはどっち? |
第5幕_第3場 | 金曜日 | お医者様でも草津の湯でも |
第5幕_第4場 | 金曜日 | スイート・ドリーム |
ED | ハッピーエンドは終わらない | |
第6幕_第1場 | 金曜日 | かわいそうなお人形さん |
第6幕_第2場 | 金曜日 | 戯曲反転 |
第6幕_第3場 | 金曜日 | ネオ・オフィーリア |
ED | バニラ・スカイ |
日曜日(序幕)は4√共通。第2場だけ、公親のモノローグとなっています。公親√が下敷きにしているのは、シェイクスピア4大悲劇のひとつ『ハムレット』というわけで、「ハムレット・ワルツ」と名付けました。
父の急死、父の弟と母の再婚、米国からの帰国、憂鬱な事情が重なり、苛立ちを募らせる公親。
久しぶりの日本、久しぶりの実家、久しぶりの病院。公親が心の奥深くに閉じ込めていた思い出がふいにあふれ出すシーン。
実は、ジュリの父・天現寺荷風は癌を患って親友だった公親の父・目白公礼を頼って目白総合病院に入院しており、そこを訪れていたパックンとすれ違うシーンがあるわけですが、それはまた別のお話。
なお、ハムレットにおいては、亡霊になった父王ハムレット王(なので公礼)、その妻ガートルード(なので香取子)、王座と妻を奪った弟王クローディアス(なので蔵人)がでてくるので公親ファミリーオンパレードです。
公親√を作りながら思い浮かべていたのはこちらの曲。今は亡きAviciiの「Hope There’s Someone」。この歌は、「僕があちらに行くとき、誰かにそばにいてほしい」という歌なのですが、亡霊、死、溺れる、復讐といった哀しい言葉が頭から離れない本作において、公親とジュリの関係を表しているように思いました。
https://www.youtube.com/embed/jgbDMOoFlIc
日曜日の0時を回って、月曜日深夜、森をさまようヒロインは、公親と再会します。第1場「狼は赤ずきんを食べない」という題名のとおり、狼である公親ですが、あえてジュリには手を出さず、そのまま無事に家に帰すことを選びます。一方で、ジュリを求め続けて、食べてしまいたい、と渇望し、他方で、自分が傍にいるとジュリを危険に晒してしまうのではないかと怯え、ジュリの安全をひたすら願う気持ちが、公親の中には常に共存し、葛藤しています。
第2場「人は見かけによらぬもの」。公親はジュリを代沢邸の外まで送り届けた後、代沢邸の庭園(森)に戻り、パーティーまでつけてきた叔父の蔵人に襲撃され、昏倒します。凡才で、大人しく、人の好さそうな叔父の隠された素顔。冷徹で才気にあふれ皮肉屋の公親が見せる愛情深く苦悩に満ちた素顔。いずれも「人は見かけによるもの」ということでしょうか。
第3場「おせっかいな弁護士に気を付けろ」。混乱の夜が明けて月曜日の朝。ジュリは体調を崩してうずくまったところを大篠に助けられる。大篠は、ジュリを半ば無理矢理、目白総合病院に担ぎ込む。
第4場「オー・マイ・ドクター」。この題名は、伊坂幸太郎の小説「オー・マイ・ファーザー」をモジったもの。目白総合病院に担ぎ込まれたジュリは、幼馴染の公親と再会。公親は、シレっとしてずけずけとジュリに失礼なことばかりを言います。下心ありで(ないときは殆どない)ジュリに近づいた大篠でしたが、幼馴染との運命的な再会を演出してしまうことになり、大失敗。コミカルで損な役回りを演じています。
第5場「ゴースト・イン・ザ・ホスピタル」。超有名アニメ「ゴースト・イン・ザ・シェル」のパロです。とはいえ、この題名も、これより先の1967年発表のアーサー・ケストラー作の小説「Ghost in the Machine(機械の中の幽霊)」からとったのではないかと思っています。ハムレットが父の亡霊と会い、復讐を決意する始まりのシーンがやっとここで出てきます。
公親√はあまり曲が出てこなくて寂しいので、ここでNHKの「みんなのうた」で放映されカルト的な人気を誇る「月のワルツ」を。アニメーションも素晴らしいので、YouTubeで是非見てみてください。話の構造のせいもあって、公親とジュリの関係は、どこか御伽噺めいて現実感がありません。公親は、ヒロインの夢に出てくる王子様の様。